単なる親ばか日記です。ご注意を。
不要になった束見本を3歳の息子にあげた。束見本(つかみほん)というのは、書籍や冊子の仕上がりの感じや厚さを確認するために作る、白紙を製本したもの。要するに表紙も中身も真っ白な本である。これまでは自分でノート替わりに使ったりしていたのだけど、試しに渡してみたら、鉛筆や色ペンでなにやら「執筆」を始める。製本してから中身を書くと言うのは新しい発行形態かもとバカなことを考えながら見ていたら、「完成したから、おとうにこの絵本プレゼント」するという。愛する息子にこんなことをされて喜ばない編集者はいるだろうか?いやいない。「うれしいわぁ。ありがとう!」と喜んでいたら、「今度はおとうが絵本作ってプレゼントして」という。
とっさのことで、情けないことに「本を作るにはまず出版企画書を・・・」みたいな手順が一瞬頭に浮かんだけれど、ちょっと考えて「そうだ!」と良いことを思いつく。これまで撮りためた息子の写真、ちっとも整理してなくて、ハードディスクに入れっぱなしになっているので、そこから選んで写真の絵本を作ればいいと。
約4年分の写真データを眺めて、52枚を選び出す。それを厚目の上質紙にインクジェットプリンタでプリントアウト。片面に写真を2枚。それを裏表に印刷。一枚目の紙がプリンタから吐き出され、その思いっきりインクを吸って沈んだ色合いの写真を見た途端「そうそう!この感じ!」と手づくりでフリーペーパーを作っていた頃を思い出した。この絶妙な写真の暗さやフォーカスのぼんやりした感じ、ざらついた質感が大好きだった。最近は忙しいからと自分に言い訳しながら、この手の制作から離れていた。
結局2時間ぐらいかけてせっせとプリントアウト。半分に折って真ん中を中綴じステープラーでバチンバチン。この作業も昔は嫌と言うほどやったけど、目の前で本ができて行く瞬間で、久しぶりにやってみるとやっぱり好きだ。完成した「絵本」はA5中とじ52ページ。
息子に渡したら、楽しそうに1ページずつ丁寧に見てくれた。嬉しい。でもそれよりも何よりも、僕が本当に好きだった作業を思い出させてくれたことに感謝、ありがとう。