2010/04/07

すいかの刺繍

 息子の保育園生活が始まった。「保育園は行かないの」とか「お庭に畑作るから保育園はお休みする」とかぶつくさつぶやく息子3歳。園庭解放などで何度も 遊びに行っている保育園で、そこに行くと魅力的な遊びが待ってることも分かるし、でもそこは今度は私と離れて1人で行くところだということも分かってい る。言動の端々に2つの気持ちに揺れ動き、激しく葛藤している様子が表れる。なんだかとても愛おしい気持ちになる。

 慣らし保育の初日は1時間から。ゴネながらもウサギちゃんの誘惑に負けて渋々保育園に入り、いよいよ別れの時。保育士さんに抱っこされながら 「いってらっしゃ〜い」などとできるはずもなく、号泣。「おかあさん、おかあさぁ〜ん」と、ひときわ大きな声で泣かれるとさすがに後ろ髪引かれるが、一日 中離れていた体験も一度や二度ではなく、ここで遊び始めるとすぐに夢中になるのは分かっていたので、がんばれよー、と思いつつ、去る。なんだか少し不思議 な感覚。

 とはいっても1時間。あっという間にお迎えの時間。行ってみると案の定夢中になって遊んでいる。保育士さんが「お母さん迎えに来てくれたよー」 と教えてくれたら、あろうことか、息子、私を見ないフリ!おい!ちょっと!お母さんだよ!迎えに来たよ!置いて行かれたことを怒ってるんだろうか?と、 ちょっと不安になってしつこく話しかけると、ぼそっと「まだ遊ぶ」。挙げ句「お母さんなんで早く来たの?もっと遅い方が良かった」。なんだよなんだよなん だよ!ちょっとしか行きたくないって言ったじゃないかよー。結局、あと1回、あと1回、と30分ほどねばってやっと帰ってきたのでした。

 それにしても、別れ際に泣いてくれたことといい、遊びに夢中になったら忘れてしまうことといい、なんだか実に健やかに育ってくれているなー、とちょっと感慨深かった。

 保育園では子ども達の名前がわりにマークを決めてくれていて、それが靴箱やらロッカーやらに描いてある。息子のマークはすいかだった。息子もそれが嬉しかったらしく、あちこちですいかのマークを見つけては喜んでいた。

 お母さんに出された宿題の一つ。前の年に大きな子たちが染めてくれた布を保育士さんが袋に縫ってくれて、それをコップ袋としてもらったのだが、そこに子どものマークをアップリケなり刺繍なりで付けること。そんなこんなで夜なべ作業。

 すいかなんて難しいなー、と思いつつ、一針一針縫っていたら、なんだかとても幸せであたたかい気持ちになってきた。なんだか私はしばらく頑張り すぎていて、こんな気持ちを忘れていた。本当はそんなに焦る必要も心配する必要もなかったのに、何をどう間違ってしまっていたのだろう。

 そんなことをぼんやり考えながら、一針一針、進む幸せ。

 すいかに見えますように。

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